同期以上、彼氏未満
「昴、今ごろ私の魅力に気づいたの、おっそーい」


照れ隠しだ。


「アホか、そんなのとっくに知ってるわ。


腹へった、朝メシ食べよ」


昴は笑いながら、私の頭をポンポンってたたいた。


ホテルをチェックアウトして、ドライブして、お昼におそばを食べて、ふたりでたくさん写真を撮った。


レンタカーを返し、新幹線に乗ってしばらくしたら、寝不足がたたったのか速攻で寝てしまった。


めちゃくちゃ快適なあたたかさで、久しぶりに夢をみた。


会社の会議室がチョコで埋めつくされていて、甘い香りで満たされていて。


仕事とは思えないな、って考えたところで目が覚めた。


「うーん、このチョコ・・・私好きだなあ」


「せやろ、俺も好きやで」


「へ?」


目をパチパチさせると、私は昴の肩にもたれかかって寝ていたらしい。


私には、昴のシャツがかけられていた。


「チョコの夢見てたんかいな、幸せもんやな。


もうすぐ着くで。


あ、ヨダレ垂らすなや」


「・・・垂らしてやる」


「しゃーないな、受け止めたるわ」


「ね、昴」


「ん?」


「出張楽しかったよ、ありがとう」


「なんや、素直で気味悪いわ」


「なによ、たまにはかわいく言ってみようって思ったのに」


「はいはい、かわいいですよー」


私は、昴への気持ちにきつくフタをした。


すごく楽しかった出張を、最後の思い出にしたんだ。


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