同期以上、彼氏未満
それから、夏休み直前までは何事もなく過ぎた。


昴は前と変わらなくて、ちょっかい出してきたり、からかったり、チョコをつまみ食いしたりしてきた。


チョコはやっぱり気温が下がってくる秋からバレンタインあたりまでがピークなので、私はこれからチョコまみれの仕事になる。


昴が担当してるカレーは一年中忙しいけど、夏はレンジだけでできるレトルトの改良があったり、ハロウィンアレンジレシピや来年夏の新商品発売に向けて動いていた。


夏休みまで数日になった頃、たまたま昴と隣の席になった。


「メグ、おはよーさん」


「昴おはよ・・・って、隣?」


「そうやで、1日よろしくな」


「邪魔しないでよね」


「するかいな」


私は、定番チョコの新フレーバーのデザインを考えていた。


もちろん、私一人が責任者なわけじゃなく、みんな考えてそれぞれ発表するんだ。


来年発売予定の、洋酒が入ったオトナ女子をターゲットにしたチョコ。


最初は藤色っぽいデザインを考えたけど、ハロウィンでも多用されてた色だったから、ボツにされた。


さっきから、パソコン画面でいろんな色を試しては消去して、の繰り返し。


一息いれよ、とコーヒーを取りに行こうとしたら、


「メグ、コーヒー持ってきたで」


昴がカップをふたつ持って声をかけてきた。


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