生きるための傷
「そうそう!同僚の息子さんが朝日高校の3年生らしくて!優香もついてきたら?」

母はこーやってすぐ物事を決める。まぁ別にいいんだけど。

「じゃあついていこっかな」
特に知り合いはいないけどさ。

「最近優香も調子良くないみたいだし、久しぶりに友達に会ったら元気になれるわよ!」

なにか勘違いをしてるなこの母親は。私が右腕に傷をつけるほど病んだ原因はあなただというのに。

「えーっ。私そんなに元気なく見えるかなぁー?」
でもそれを考えることすらもう飽きた。考える方が疲れるから忘れてしまおう。傷をつけて。






────────────

大人や子供が混ざって歩いている。
浴衣なんか着てたりかき氷食べてたり。先週私の高校で行った学園祭とほとんど変わらない。

私はふと、唯一の朝日高校での知り合いの教室に向かった。



「あれ?!優香ちゃん!久しぶり!」
サラが笑顔でそう言った。

中学の頃は同じ教室で過ごした仲間なのに、今ではこの教室にすっかり馴染んでいる。ちょっとだけ、寂しいような、不思議な気持ちになった。


「あはは、サラちゃん!
あー...頑張ってね!それじゃ、」
最後は言葉を言い終わらずに出てきた気がする。

懐かしくて、それでいて寂しい。思えば幼稚園、小学校、中学校とサラちゃんとは関わってきたのだった。

「もう帰ろうかな。」

五月蝿い人で塗れた廊下を歩くと、見知った顔があった。

近藤さおり。中学の時、同じ美術部だった子だった。

「さおりちゃん??さおりちゃんだよね!!
わあ、久しぶり!!!」

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