青の瞳に映るのはーー
ガヤガヤとする廊下。
ここ最近は、文化祭の準備に持ちきりだ。
だからか、余計……人多すぎ。

「うわっ、美心ちゃん可愛すぎっ惚れる」

鼻を押さえ悶える奴もいりゃ……。

「可愛い、猫耳メイドやばい‼」

興奮する奴を睨んだ。


「あ…………雷。」


遠くなのに、分かる異様なまでの威圧感。

闇を飲み込む漆黒の髪が、揺れた。

「美心………っ」



雷が久しぶりに呟いた言葉は、美心を呼んだ。
雷が、目を見開くのが分かった。

こんなとこで会いたくなかった。

美心を、呼ぶな。
美心を、見るな。

「美心っ」


君を、抱き締めた。

美心を、誰にも見せたくない。

「……………っ雷くん。

もう、戻れないの?」

君の声が震えてるのが、分かる。

「………………俺には、美心を大事に出来ない。
悪いっ」


美心を大事に出来ない?

君を見たら泣きそうに、俺の袖を掴む。
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