青の瞳に映るのはーー
何……………やっぱり俺可笑しくない?

何故か、聞こえるんだ。
どんなに小さな声も、君の声なら聞こえるって可笑しくない?

「そう??
俺には、君の声が良く聞こえるよ。
なんでかわからないけど、良く聞こえる…………ッ」


何だか、照れ臭い。



「ありがとうっ。
目黒くんっ」


君の小さな声が、俺を呼んだ。


だけど…………

ちゃんと聞こえる。
君の声ーーーー。


「なんだよ、青。
今、香織ちゃんなんて言った訳?」


はあ?
「何、翼聞こえないの?
あんな、よく聞こえるのにーーーってなんだよ」

やけにニヤニヤする翼を、人睨みした。

「いやあ、青ってさあ、鈍感だよな?
意外意外‼」

一人で納得し、ニヤニヤと笑う翼。

意味が分からない。




"ありがとうっ。
目黒くんっ"ーーーーー




離れない、君の声ーーーー。

テーブル席を見ると、目が合った。


今度は目を逸らさずに、君が、微笑んだ。


「……………」

ガシャンーーーー

やば、皿割った。

「ちょっと、目黒くん!!
香織ちゃんに、見惚れすぎっ!!」


「はあ!?
ふ、藤何言って………!!」


見てねーし。

「あれ?自覚ないの?
目黒くん、香織ちゃんの声する度、見てるよね?」


はあ⁉俺が、あり得ない。

「美心のことだってあるのに………あり得ないから」


ずっと美心が好きだった。

「目黒くんは、美心に囚われすぎだよ?
美心に出会ったのは、運命かも知れない。
だけど、ずっと側に居ないのは、運命の人じゃないからだよ。

本当に運命の人なら、きっとーーー何度だって出会うよ」


"本当に運命の人なら、きっとーーー何度だって出会うよ"ーーーーー。


もう1つの雷龍に出会った時と同じ様にーーー。


俺は、藤を見た。


「美心、好きで居てくれてありがとうっ」




藤は、ソッ、と俺から離れた。


< 230 / 242 >

この作品をシェア

pagetop