先輩の彼女にしてもらいました
私は高校に入学して、沙織ちゃんと仲良くなれて、初めて友達というものがこんなにあったかいものなんだと知ったような気がしていた。

今思えば、中学の時、友人関係にあれほど悩んで傷ついていたのはどうしてだったのだろう。

こうして離れてしまえばなんてことはないことだったのかもしれないけれど、もう陸上もやめて、高校も別のところなんだし、いつまでも気にしすぎてはいけないのかもしれないけれど。

さっきロビーを通るときに、中学時代の陸上部のメンバー、アキちゃん、ヒナちゃん、ココロちゃんと吉木君の姿をいちはやく見つけたけれど、私は彼らには声をかけずに、隠れるようにして席についてしまった。

今更、顔を合わせたところで、仕方がないと思っていたし私からはもうこれ以上彼女達との関係を築こうなんて気は少しもなかったから。

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