先輩の彼女にしてもらいました
「ごめん、もう、戻らないと」

諭すように、言って先輩が私の腕を引き離そうとした。

「やだっ、可愛いー。一年生?つばさ、ダメだよ。またこんな清純な女の子をたぶらかしちゃ」

「バカ、桜、そんなんじゃねーから、この子はちゃんと付き合ってるの」

桜と呼ばれたマネージャーの彼女は、私をじっと見て明るく微笑んだ。

近くでみると、堂々としていて華やかな美人だ。

「こんにちはー、大田 桜です。つばさとは幼馴染の元カノなんです。つばさのことで、わからないことがあればなんでも聞いてね」

ニコニコ笑う彼女の意味ありげな自己紹介に、私は言葉を失ってしまって、さっと横を向いてしまう。

なにこの人、信じらんないよ。こんなの。

笑顔で差し出された手をとることも、挨拶することも私にはできなかった。

「な、なに言ってんだよっ、バカか、お前」

私に差し出された桜さんの手を、パチンって軽く叩く先輩。

「なによーほんとのことじゃん」

「わざわざ言うことないだろ、この子に」

「私達、もう別れてるんだし、お互い未練もないし、いいじゃないべつに」

「いや、そういうことじゃなくて」

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