はつ恋の君をさがしてる

寝てろと言われても……眠くないしなぁ……
困り果ててぐるりと病室を見回してみる。
「やっぱりここ……初めて高嶺さんと会った日に入院した部屋？」

ガックリする。
もう二度と高嶺さんに迷惑かけないようにしなくちゃと思っていたのに、またこんな事に……
「怒ってたよね……うちに帰ったら怒られるかな？」
想像しただけでぶるりと震えが起きる。
でも今回は私が悪い訳じゃないよね？
「よし！それで押しきろう！副社長のせいだし！私は悪くない……よね？」

「そうだな。悪いのは私だ！」
「え？」
突然病室の引き戸をガラリと開けながら現れたのは副社長だった。

「本当に申し訳ない。」
土下座しそうなほどの勢いに驚いてあわてて両手を挙げて制止する。
「君のフィアンセには私から謝罪させてもらうつもりだから、どうか安心してほしい。」
そう言ってまた頭を下げられたが、どうしたらいいのかわからない私はおろおろするだけである。