はつ恋の君をさがしてる
新しい生活
あいつが退院してから2日。

俺はいつもと変わらず病院内を忙しく歩き回っている。
あと30分でオペが始まる。
何度も経験のある慣れた症例の慣れた術式だが、余裕なんかない。
いつだって必死だし、そうであるべきだと思っている。

なのに……。
ふと時間が空くとあいつのことを考えてしまう。

何してんのかなぁ?とか、また熱出したりしてないかなぁ?とか……

俺……結構重症かも?
なんでこんなにあいつが気になるんだ?

「鈴加…。」

ついポツリと呟いたあいつの名前に自分で焦って周りを見回す。
幸い白い廊下には誰もいない。

俺は頭を振って切り替えるとオペ室に向かって足を早めた。
< 52 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop