あの日の私に伝えたい
第1章

新学期

ザワつく昇降口。

高校二年生になった私、相見晴香は

新学年のクラス替え表を見てほっと息をついた。

私の横の欄には大好きな幼なじみの橘想太の名前が。

あ、好きっていうのは、恋愛的な意味合いで。

想太とは幼稚園からの仲で、奇跡的に13年間同じクラス。

帰り道も同じ方向で、自然と毎日顔を合わせることになる。

私がこの気持ちに気づいたのは、中学に入ってすぐ。

今思えばずっと一緒にいるから、好きになるのは必然的だったのかも。

だがしかし、問題がふたつある。1つ目は…

「あ、晴香ちゃんクラス表見た?俺のクラスどこだった?」

そう、このマイペースさ。自由人という言葉がお似合い。

「クラス表くらい自分で見なさいよ」

「だって俺、人混み嫌いだし」

なんて唇を尖らせながら背伸びをする想太。

「今年も私と同じだよ」

「へぇ〜13年間も一緒なんて運命だね」

2つ目は、今みたいな思わせぶりがひどい。

今回のような天然発言が日常茶飯事になりつつある。

私は早く幼なじみ卒業したいんだけどね…。

「はいはい、いいから教室行くよ」

「はーい」

眠そうな目を擦りながら上履きを履く想太。

先輩になるんだし、もう少ししっかりしてくれるといいんだけど…。
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