二年越しのありがとうを、キミに。

「あの……」


どちらかというと昔から消極的だった私。


そんな私が自分でも信じられないことに、弾かれたように彼の元へ歩みを進めて声をかけていた。


彼は私の顔を見ると、強張っていた表情をわずかに緩めた。


透き通った真っ青な瞳が私に向けられる。


「What happend?(どうかしましたか？)」


つたない英語でそう尋ねる。


「I forgot my wallet in the train (電車の中に財布を忘れてしまったんだ)」


彼は慌てたようにそう言った後、私に分かりやすいように知りえる限りの日本語で「でんしゃ」「さいふ」と身振り手振りで伝えてくれた。そのおかげで彼が困っている理由が分かった。