Smile  Again  〜本当の気持ち〜
やっぱり由夏だった。まる3年ぶりか、可愛くなったな。


いや、あいつは昔から可愛かった。姿形だけじゃなくて、性格も。泣き虫で、いつも俺を頼って甘えてきて・・・でもいつの間にか、あいつは涙を見せなくなり、それと時を同じくして、俺達の仲は離れて行った。


それにしても、入学式の日、クラス分け表を見ていて、あいつの名前を見つけた時には、大袈裟でなく、呼吸が止まるくらい驚いた。さすがにあいつの名前で、同姓同名の別人というのは考えにくかったから。


それでも、まだ今日で入学2日目。別のクラスまで、あいつの姿を確認して歩く余裕も、ないまま、俺は野球部の練習の見学に訪れた。


そこで、俺はついにあいつの姿を見つけた。熱心に練習を見つめるあいつの姿は懐かしかった。昔はああやって俺達のチームの練習や試合をよく見に来ていた。


よっぽど声を掛けようかと思ったが、知らない女子と一緒にいたし、何より今更、なんて声を掛けたらいいのか、全然わからなくて、俺は気付かれないように、あいつに背を向けて、歩き出した。


避けてたって、また同じ学校の生徒になった以上、いずれ顔を合わせないわけにはいかないのに・・・。
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