好きです、田畑さん！
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怪力

小学生の時、あたしは少女漫画というものに出会った。



普段はお土産なんて買ってこない父親が気まぐれに買ってきたのを憶えている。



当時のあたしは恋のいろはなんて知らないし、興味も持ってなかった。



だけど、その漫画を読んだあたしはいつしかそのキラキラした世界の虜になっていた。




いつかあたしもこんな風に運命的な恋をするんだって……。





でも、現実はそんなに甘くないことをこの7年後、あたしは知ることになる。








「どうしよう。クラス全員分集めたノートをお昼休み中に先生へ提出しないといけないのに…。」



ある夏の高校の昼休み。


あたしが在学する二年Ａ組の教卓前でそんな弱々しい女子の声が聞こえてきた。



どうやらその子は日直らしい。



先生から頼まれているのか時計の針を気にしていた。



見ると教卓の机には、数学と物理のノートが山積みになっていて一人では持てないことは誰が見ても明らかだった。



おまけに前の授業で使っていた特大の三角定規が3つ、数学の先生から忘れ去られていて必然的にその日直の子が持っていくしかない。



「うわ！これ重い…！」



その子の友達も一緒に持ってあげようとするけれど、女子二人の力では当然無理だった。
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