好きです、田畑さん！

「ねぇ、昴！私は？」


「あ！麗奈はなんか髪型変えた？似合ってるね～。」


「きゃー！さすが昴！！ちょっとだけ髪切ったの～！」


「昴！昴が、一番好きな人は誰なの？」



「うーん、一番って決められないくらいみんなのことが好きだよー！」




な…、なんなの。



この光景は。



そして何であたしは夜神とそのファンの子とのイチャイチャぶりを眺めているんだろう。



歯の浮くような夜神のセリフに吐き気を覚えるあたし。



げんなりしてまだ見ていると…。



「あ、いた！麻莉奈！次の授業、移動教室だから早く行こうよ。」


と、そこへ友達の瑠衣がやって来た。



ハッ！



そうだった！



こんな馬鹿馬鹿しいやりとりを見ている場合じゃない。



我に返ったあたしは、彼らに背を向けると早々に教室を後にしようとする。




でも。




「田畑さーーん！心配しなくても、田畑さんは俺にとって特別だからね～～。一番どころじゃないから～。」





なっ！？




夜神のそんな間延びするような声が背中を追っかけてきた！！





「い、移動！！……教室だから、みんな早く準備した方が、いいんじゃない？」




振り向かずに冷静にそう言うと、今度こそあたしは教室を出ていった。




顔が熱いのは気のせいにしたまま…。