エンジェルベイベー

ボーンボーン


壁にかかった時計が4時半を知らせた。



あれ、6時になると鳩が出て来るの。




いつも通りの店内をぐるりと見回す。


ここのお店、イノセンスは一年前この街にオープンした




主に女性物の雑貨、ピンクとかフェミニンな物を集めたとっても可愛いお店なのです。



私もこのお店が大のお気に入り。




「あの、店長、遅くなってすみませんでした。」



私はぺこりと頭を下げた。




白い床の上に敷かれた花柄の絨毯が目に入った。



「いやいや、りりかちゃん、いつも来てくれて、本当にありがたいよ。



それと、君の身長と足の遅さを見たら咲良野公園前からここまで早く着くのは難しいよね。」




にこにこの笑顔で言われると何か全てがありがたく感じる。



いや有難い。


店長のきゅっと下がった目尻を見るとなんだかほっとした。


「学校の後に来てるんだもんね。テストは出来たかな。」



学校と言えばもちろん今日もドタバタでテストどころではなかった。


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