ちゃんと伝えられたら
18
昼休み、綾人さんはまだ戻って来る予定ではない。

私はさっさとお弁当を片付けると、ロビーへ下りて行った。

受付より離れた椅子で、所在なさげに座っている女性を見つけた。

私より若いその女性に、生まれの良さを感じた。

あの時、綾人さんと一緒に居たよりも落ち着いて見える。

「お待たせしました。篠田です。」

私が話しかけると、その女性はハッとしたように私を見た。

「三島です。お忙しいのにお呼びだてしまして申し訳ありません。」

すくっと立ち上がったその女性の姿は美しい。

「あの…、お昼休みを抜け出して来たのでお時間が限られているんですが…。」

私はその人の横に座りながら、相手の人にもそう促す。

「では、御用件だけお伝えします。坂口さんが私とのお付き合いをお断りしたのはご存知ですよね?」

「はあ…。」

< 192 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop