ちゃんと伝えられたら
「もしかして…、坂口さん…。」

思わず私は声を出していた。

「何か質問でもあるか?」

そんな坂口さんの問いに、私は言葉を続ける。

「この資料をこれだけまとめるのに、どれだけ時間がかかったんですか?」

坂口さんは私の不意打ちの質問に驚いたようだ。

「そんな事はどうでもいい。」

しかし坂口さんは冷たく言い放った。

「ダメです。これは私のために作って下さった資料ですよね?そんな労力をかけてしまうような私が事務の補佐をさせてもらって良いんですか?」

私は珍しく食い下がった。

坂口さんは一瞬困ったような表情を見せた後、真っ直ぐに私を見た。

「篠田に…、篠田にどうしてもこのプロジェクトの補佐してもらいたいと思ったのだから、これぐらい当然だろう。」

「えっ?」

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