ちゃんと伝えられたら
「さあ、出るぞ。時間がもったいない。」

こういう時の綾人さんの口調は厳しい。

「今日はどちらかというと、志保の出勤に俺が付き合うんだからな。」

綾人さんのその言葉が妙に嬉しい。

「ん?どうした?」

ニヤニヤと笑う私に綾人さんは気が付いたようだ。

「仕事が出来る事とそれに綾人さんが一緒という事が何だか嬉しくて…。」

「志保、時間がないと言っているだろう。」

「はい。」

そう返事した私の顔に急接近した綾人さんの顔。

「…そんな事を言うと、志保を抱きたくなってしまうだろう。だから今はこれで我慢する。」

そう言って私に落としたキスは、今までで一番長かったような気がする。











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