限りない愛~甘い彼に心揺れて~
勘違いしていたのは、大ちゃんではなく私だった。ユリナさんと仲良くしている様子に嫉妬したから、信じられることも信じられなくなって、不安ばかりが増えていた。

やっぱり人から聞く話や勝手な推測で判断してはいけない。真実は本人の口から聞くのが一番だ。


「そろそろ戻らないと、捜索願いが出るかもな」

「どこに行ったかのかと探していたら、大変なことになる。もう試写会も終わっているよね? 早く戻ろうよ」


大ちゃんは副社長だから、少々くらい姿が見えなくても誰も怒らないだろう。だけど、平社員の私は違う。連絡くらい入れなさいと注意されてしまう。

彼はアタフタと冷めたコーヒーを飲み干して、立ち上がる私を笑った。


「そんなに慌てなくてもいいのに。なにか言われても俺がかばうから大丈夫だよ」

「うん、ありがとう」


入店した時とは違って、晴れやかな気持ちでカフェを出る。襟元に入ってくる冷たい風に体を縮みこませ、大ちゃんの腕に寄り添う。


「イブまであと少しだよね。楽しみ」

「うん、俺も」
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