限りない愛~甘い彼に心揺れて~
役員席を端から端まで横目で見る。そして、1人男性を捉えたことで、私の目の動きは止まった。

他の役員よりも頭が飛び出ている長身の男性は、一人だけ30才くらいと思われる若さで目立っていた。


「あの人?」

「そう。ほら、この前までやっていたドラマの弁護士役の人に似ていて、かっこいいと思わない?」

「ドラマで弁護士? あー、分かった!」


先月終わった連続ドラマを思い出して、ポンッと手を叩いたところで私は固まった。

周りの社員だけでなく、壇上にいる社長をはじめ役員一同までもが私に注目したからだ。

まずい……この場では、大声を出すどころか話さえもしてはいけないと分かっていたのに、私は何をやらかしているのよ。

今すぐ消えてしまいたいけど、私の存在はみんなの目にハッキリとうつっている。

ならば、やることは1つだけ。すうっと息を吸ってから、口を開く。


「申し訳ありません! 以後私語は慎みます! 本当に申し訳ありませんでした!」


声を張り上げて謝罪した。


「いい心掛けだね。よろしくお願いしますね」

「はいっ!」
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