君と出会えた物語。



なにかをするために家を出たのではないから行き場に困る。



夏休みは旅行に行くとみんなに言ったことに今更後悔をした。



前向きになれる場所に行きたいのに...あの公園に行きたい気もする。



ヒロが好きって言ってくれたあの場所。



悩んでる間に公園まで辿り着いていた。



「...懐かしいな。」



夏休みだから子供たちが遊んでいる公園の端にあるベンチに座った。



「朱莉?」



最悪...なんでここにいるの。



「...ヒロ。」



座ったベンチの近くにある花壇にヒロは座っている。



「なんか久しぶりだな。元気してたか?」



「そりゃ元気に決まってるじゃん。」



上から下に動くヒロの目線。



全身鏡で見た自分を思い出す。



こんな姿見られたくない...。



「朱莉なんか...。」



「じゃあ!...私、約束あるからまたね。」



何を言われるか分かるって怖いな。



ヒロの話を遮って公園を出た。



チクチクする胸の痛み。



「ヒロ〜お待たせ!」



思わず振り返るとそこには奈々ちゃんがヒロと笑いあっていた。



待ち合わせしてたんだ。



同じ気持ちでここにいるのかな。



なんて淡い期待をしていた自分を殴ってやりたい。



元々その場所は私だったのにな...。



その光景を見てるだけで黒い気持ちが溢れ出しそう。



その気持ちを振り払うように全力で走った。



走ることでなんとかしたかった。



なくなって欲しいこんな気持ち全部。


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