危険なあなたともう一度…
これが桐生組
2日後あの件から次の日学校を休んでしまい一日中考え込んだけど逃げても現実は変わらないとわかり諦めて学校に出た。

学校に着き教室に向かっているとヒソヒソと私を見て小馬鹿笑いをする人達がいた。

嫌な予感がした時にそれは当たってしまう。

"犯されたらしいよ"

"初めてがレイプとか可哀想"

"俺らのマドンナが汚れたな"

"あんなに男子に冷たくあしらってたんだから自業自得な面もあるんじゃない"

「…ゃ、めて…」

私は両耳を塞ぎその場にしゃがみうずくまってしまう。目をきつく閉じて恐怖におびえて震えていた。

すると私の身体に触れる誰かに驚いて振り払ってしまった。

「…っ…ま、き」

「羽久安大丈夫!?」

「…あ、か、ずきくんも」

「とりあえず保健室に行こ羽久安」

「…ありがとう」

保健室に行き少しベッドで休んでいるといつの間にか眠っていて気が付いたら昼休みに入った頃だった。

ベッドから起き上がりカーテンを開けるが誰も居なくて静かに保健室を出て真希がいるだろう教室に向かうが急にざわめきがギャラリーから聞こえてきた。

そこには全学年の生徒達が恐怖に怯えた顔をして奥を見ていた。すると…

「す…す、すみません…」

「っ!?」

この子に聞き覚えがある。
一番聞きたくない許せない人の声だ。

私はギャラリーの中を無理矢理抜けて行くと目を疑う光景が視界に広がり言葉を失う。

なんで梓さんがいるの?
橋爪さんまでもあの後輩くんを睨み見下ろしていた。他にスーツを着崩した強面な人が何人か居てそこだけ黒いオーラがあった。

「な?お前は誰に手を出したかわかっててヤったんだよな?」

「そ、それは…っ」

「なんであんな事した、あん?」

「…あの女…うぜぇんだよ…ちょっと可愛いからって調子乗ってよ!」

「…それだけの理由か?」

「…わ、悪いかよ…っぅ」

「痛えか?」

「…っぃ…ぅ…や、めっぅ」

私の知ってる優しい梓さんとは違って殺気と冷たい目で林くんを殴り蹴って林くんはやり返せる隙もない程に殺られていた。

私は止めに入る隙もない程の凄い殺気で周りの生徒達も恐怖に怯えていた。

「あいつが受けた痛みはこんなもんじゃねぇんだよ」

「…っぅぅ…っ」

「ガキの分際でシャバってるから取り返しのつかねぇことになんだよ」

「…す、ぅ…み、ませんっ」

「ああ?」

「もっ…ぅっ…しません…」

「だからなんだ?てめぇの意見なんてどうでもいいんだよ」

「…っ…ぅぅ」

「喧嘩売った相手を間違えたな」

「…」

林くんは意識を手放したのか動かなくなってしまったのにも関わらず梓さんは終わらず殴り続けていた。

それを橋爪さん達は止める素振りも見せずにただ見下ろして見ていた。

私はこの光景に唖然と見つめる事しか出来なくて体が動かない。

これが桐生組の桐生梓だと改めて気付かされて教師ですら恐怖に怯えて固まっていた。誰もが知っている桐生組の恐ろしさを直で見てしまった今誰も発する事が出来ずにいた。

「…梓もう意識ないそれ以上は死ぬぞ」

「死ぬ前に売りつけるか」

「そんな奴を売りつけたって何の価値もない」

「…それもそうだな」

「そいつどう処分すんだ?」

「そうだな…っ羽久安?」

「…っ」

橋爪さんが止めて殴るのを止めた梓さんが私に気付いて私に近寄って来た。

いつもの私の知っている梓さんで優しく微笑み私の頭に手を乗せてきた。いつも通りの梓さんで少しホッとする。

周りを巻き込むと言うのはこう言うことだったんだと気付く。私が自らこの光景を望んだものと同じだから何も言えずにいた

「羽久安が望むならこいつをこの街から…いや、日本から追い出す事も可能だ」

「…もぅ…十分だよ」

「そうか。ごめんな怖かったな」

「梓さん…っ」

梓さんは少し震える私を抱き寄せて優しく頭をなでてくれる事が嬉しくて安心する。

私…やっぱり梓さんが好きだ。

危険な人なのかもしれないけどそれでも梓さんの側にいたいなんて思うのはいけないことかな?

こんなに好きなんだもん仕方ないよね?
私の為にここまでしてくれるだよ?諦めれる人なんかいるはずがないよ…

「羽久安!」

「…ま、き」

「梓さんどう言うことですか!」

「そのまんまの光景だけど」

「羽久安に近寄らないって!?」

「真希!梓さんは何も悪くないの!」

「羽久安…でもこの人は」

「ごめん…私やっぱり…」

「羽久安…」

「真希ちゃんかな?悪いけど…羽久安ちゃんは貰って行くね?」

「ちょっ!」

「あ、梓さん!?」

「泰賀あとはよろしくな」

「まったく…程々にな」

「頼んだ!」

私は梓さんに手を引かれてギャラリーを駆け出すのを必死について行く。

学校を出て着いた所は小さな公園だった。
抜け出して良かったのか?警察形になったりしないよね…

「大丈夫だよ」

「え…」

「泰賀なら上手くやる」

「随分信頼してるんですね」

「うん…あいつが俺に就いてもう10年は経つからな」

「そ、そんなに?」

「泰賀ああ見えてもう三十路になるからな」

「…見えない」

「俺も最近時々思うよ」

「…ありがとうございました」

「なにが?」

「さっきのこと」

「俺が勝手にした事だよ」

それでも梓さんが私の為に動いてくれたことが凄く嬉しいなんて思ってはいけないことなんだと思うけど現にあんなボコられた人がいるんだから…

なのに梓さんがかっこよくてあんなに殺気出してまで私の傷を被ってくれたんだ。

梓さんを見つめていると目が合って咄嗟に逸らしてしまい梓さんがフッと笑いを零して顔に熱を持つのがわかる。

「見つめて惚れちゃった?」

「え…」

「なんちゃってね」

「…」

「羽久安?どうしたの?」

「…き、です」

「ごめん、聞こえなかったなんて?」

「す、っ…」

「す??」

「…き、です」

「…」

どうしよう…咄嗟に告白なんてしちゃった…
まずかったかな?恥ずかしくて梓さんの顔が見れない。

梓さんは黙り込んでしまい私は気まづくて違う話の話題をしようと考えていると急に梓さんに手を引かれて抱き締められた。

「…っ!?」

「それ本当?」

「…はい」

「やばい…俺もう死んでもいいわ」

「え!?」

「それくらいめっちゃ幸せ」

「それって…」

「俺も好きだよ」

「!?」

「初めて会った日から一目惚れしてた」

「うそ…っ」

「…お前を俺だけの者にしていいか?」

「…それは」

「俺と付き合ってください」

「っ…はい」

「ふっ…羽久安は可愛いな本当に」

こんなにも幸せなことがあるなんて考えもしなかった。届かないって思ってた相手とこうやって恋人同士になれた事が嬉しくて涙目になる自分がいた

幸せ幸せどうにかなりそうだ…

泣いてる私を梓さんは満面な笑で私を優しく抱き締めて次第に強く私を確かめるように頭をなでてくれる事が凄く嬉しいなんて。

「幸せ過ぎて可笑しくなりそうだ」

「私も」

「羽久安…キスしたいダメ?」

「…っ…う、ん」

「羽久安」

梓さんはゆっくりと目を閉じて顔を近寄ってくるのと同時に私もゆっくり目を閉じる。

ゆっくりと…私と梓さんの唇が重なる。

初めてのキスは幸せで優しくて暖かい。

たった数秒がなん時間も経ってる感覚でこれが幸せなんだと感じる。初めてが梓さんで幸せで…涙と優しいキス。

「…やばい、幸せだ」

「うん」

「でも、羽久安のキスはファーストが良かったかな…」

「ん?私…初めてだよ?」

「え…本当に?」

「うんっ…」

「可愛過ぎかよ…嬉しすぎる」

「っ///」

「羽久安…好きだよ」

「私も…好きです」

梓さんの真っ直ぐな気持ちが暖かくて心地よくて安心する。

この時間がずっとこの先も続くことを願って抱きしめてくる梓さんの背中に腕を回して私も強く優しく抱き締め返す。

ずっとずっとこのまま時が止まればいいと強く願うほどに私は幸せと温かさに包まれた。
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