デキる女を脱ぎ捨てさせて
 お昼休みになるともちろん話題は先ほどの騒動。

 松山さんが開口一番、からかうように言った。

「モテモテね。
 モテ期、到来なんじゃない?」

「みんなからかって面白がってるんですよ。」

 私はため息混じりに言った。
 私の見た目はどちらかと言えば派手顔で遊んでそうとか心ない言葉をかけられることもしょっちゅうで。

「美人さんなんだもん。いつものことよ。」

「そっか。そうよね。」

 松山さんの言葉も、それに頷く河内さんにも私は我慢ならなくて拳を握り締めた。

「松山さん、河内さん!
 零細企業を舐めないでください!!」

 私の剣幕に驚いて、ぽかんとした顔で「はい」と言った2人に力説する。

「総勢20人弱の毎日変わり映えしないメンバーの内訳はパートさんが大多数で、社員の男性は5人。
 既婚者4人、唯一の独身者は妻と死に別れた68歳のおじいちゃんですよ?」

「はぁ。」

「どの段階でモテたらいいんですか?
 会社の往復で会うのは野生のイタチに珍しく会って鹿。
 私は、私は!!」

「落ち着いて。落ち着いて。」

 お茶を差し出されて、それを飲み干した。

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