御曹司は眠り姫に愛を囁く
「椎名さんだって見合い相手と結婚すると言っていました」

椎名さんの方が見合い相手との結婚は濃厚だ。
新規事業と『シーナ』の社運がかかっているだから。
彼の背負うモノは大きく、それに耐えられずヤケを起こしていたんだと思う。

でも、あの甘いキスと囁きは何だったのだろう。
あれは私にキモチに対する同情?

これからもカラダの関係を続けるなら半端な優しさは不要なのに。

「今度は思いつめたような顔してるぞ。貴崎」

「ゴメンなさい」

私は彼のキモチを踏みにじった女。
それでも、優しく気に掛けてくれる須藤さんに申し訳なく思い、謝った。
「謝らないでよ。貴崎さん」

「でも・・・」
語尾を濁し、笑顔を繕う須藤さんに返す。

「君のキモチ、最初から知ってたし、瑛に嘘を付かせたのは俺だ」

「須藤さん・・・」

「おーい。貴崎。出来たか?」
浅見社長が執務室から出て来た。
「今、頑張っています!!」

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