御曹司は眠り姫に愛を囁く
パウダールームで、顔を覗き込んでいるとスカートのポケットに仕舞ったスマホが鳴った。

「もしもし・・・」

相手はこの間、大学の同窓会で久しぶりの再会を果たした日南明日香(ヒナミアスカ)。
彼女とは同じゼミの一番の仲良しだった。彼女は私とは全くの反対の性格で、男性には積極的。
私達ゼミの仲間の間では『合コンの女王』と言われた。
卒業後は東京で就職。デザイン関係の仕事ではなく、大手保険会社の営業職に就いていた。
彼女の連絡は一旦途絶えたが、この間の同窓会を機に仲が復活した。

ーーーー今夜の合コンのメンツ一人足りないの。お願い!!凛音!!

「私が合コンは苦手だって・・・明日香知ってるでしょ?」

ーーーー居るだけでいいから・・・ねっ、凛音。

電話越しの明日香の声は切羽詰まっていた。


ーーーー相手は私の取引先のIT企業の人たちなの・・・ちゃんとメンバー揃えなきゃ・・・保険に入って貰えないかも。私の営業成績にも響くかも。お願い!!凛音」



「・・・わかった・・・」

過去に明日香にはお金を借りたコトもあるし。(すでに返済済み)


「場所はどこ?」


合コンの場所を訊き、電話を切った後、軽くため息をつく。
場所は昨日、須藤さんと行ったハイアットビル・汐留『ドラゴンホテル』の中にあるダイニング―バーだった・・・



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