御曹司は眠り姫に愛を囁く

「支社長は私が退職後…アメリカ留学したんですよね…いつ戻られたんですか？」

「つい3ヵ月前だ・・・」

支社長のワイングラスを持つ左手の薬指にキラリと光るプラチナリングを見た。

ーーーー支社長は結婚していた。


「・・・さっき話した俺が昨日告白した女って…彼女なんだ…瑛」

「須藤さん！？」

「へぇー・・・そうだったのか・・・」

支社長は私をジッと見据え、須藤さんに相槌を打つ。

「貴崎さん、陸翔はいいヤツだよ」

支社長のお墨付きがなくても、須藤さんは良い人。
貴方に似て、優しくて頼りになる人。

でも、私の胸の中には切なさと絶望感が広がっていく。

私は初めて自分のキモチに気づいた。

ーーーー私は支社長に恋をしていたんだと。

誰かのモノになって気づいてしまうなんて・・・
私は鈍感な女だ。


「陸翔なら、きっと君を大切にしてくれると思う・・・」

「おいおい、瑛」

須藤さんは照れながらも嬉しそうにしていた。

彼との再会は恋の失恋日となったーーー・・・