御曹司は眠り姫に愛を囁く
俺がアメリカに留学している間に、稜と相葉さんいや佳乃さんの間には男の子が誕生。名前は歩斗(アユト)君。

そして、『椎名家』当主であり、曾爺様の椎名珪が老衰の為九十五歳の生涯に幕を閉じた。

当主の座は遺言により、ひ孫である兄の崇に譲られた。


『椎名家』も世代交代の中、俺は日本とアメリカを行ったり来たりと生活を続けて、3ヵ月前にスクールを卒業し、日本に帰国して、『シーナ』東京支社の支社長として再び、仕事に復帰した。


多忙な毎日を過ごし、久しぶりに高校時代の同級生の須藤陸翔と飲む約束をした。



俺は先に来て、予約席のテーブル席で陸翔を待っていた。


俺が予約した店は『ハイアットビル・ドラゴンホテル汐留』にある42階のダイニングバー。
オリーブオイルやハーブ、ナッツをふんだんに使う地中海料理は楽しめると言う珍しい店。
「悪い」

陸翔が10分遅れで、登場し、俺の顔を見て謝った。

「いいよ。早く座れっ」
俺は陸翔を座らせて、係の者を呼んだ。

まずは二人でアラカルトを覗き込み、乾杯のワインをオーダーする。

「再会を祝して乾杯!!」

スペイン産のワインボトルで二人の再会を祝した。


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