ケモノ系ケモノ型男子。




「……ごめんなさい梶村くん。私黙ってたことがあるの……」




「……うん」





私を好きでいてくれる彼だから…言わなきゃいけない…。






「私……前野先輩が好きなの…。前野先輩が…私に"好き"を教えてくれたんだ…」




前野先輩がいなかったら私は前へ進むことができなかった。




前野先輩がいてくれたから私は頑張ることができた。




「…………はーっ、そっかー。前野先輩かー。なんか納得しちまうなー」




梶村くんは頭を搔いて苦笑する。





「うん、それでも好きだ!俺はやっぱり白井さんが好きだよ」



ニコッと笑った梶村くんの顔はすごく眩しかった。






素直なのか優しすぎるのか……。




「変なのっ」




彼の笑顔につられて私はクスッと笑った。




「よし!戻ろっか!先輩達怒ってるだろうなー」



「そうだねー」





そして私達はグラウンドへ向かった。










「おっせーぞおい!!!」



どこからか聞こえてきたその声に私と梶村くんは慌てて




「「すみませんでした!!!」」




と、頭を下げたのだが……





「違いますよ明香先輩。あっちあっち」





近くにいた薫くんの指さす方向を見ると、




さっきまで一緒にいたきーちゃんが福田さんに怒られていた。




「どこほっつき歩いてた!!」



「迷ったんだよ」



「嘘つくんじゃねぇ!!」




私と梶村くんは怯えながらその光景を見ていたが、周りにいた部員達は違う目で見ていた。



「うへーなんだあのデカい2年」



「アイツがモデルもやってる梅沢高校の暴君獅子王って奴か?」



「クソイケメンじゃねぇか」



「茶髪とか…なめてるだろ」




地毛なんだけどな…きーちゃんの茶髪。




ってそこじゃない!!




モデルって何!?




梅沢高校の暴君ってきーちゃんだったの!?




周りの情報がいっぺんに頭に入ってきておかしくなりそう。




きーちゃんがこの1年ちょっとでそんなに遠い存在になってたなんて……。






「やっと戻ってきたのか」




こーくんが私の所に来たので聞いてみた。




「こーくんはきーちゃんがモデルで暴君?だってこと知ってたの?」






「……知ってた」





えええええええ!!!??





「な、なんで教えてくれなかったの…!」





「教えたくなかったから」




な、何よソレ……。




理由になってないよ!







「よお幸太郎」



気づいたらきーちゃんが近くにきていた。




「何の用だキラ」





幼馴染が3人揃ったのに…なんでこんなに重たい空気になるんだろ。





「この前の大会ぶりだな。お前が2位で俺が1位の大会」




どうやら2人は以前から面識があったっぽい。




私を差し置いて2人で……。





「わざわざ嫌味を言いに来たのか?」




「おいおい本当のことだろ?明香も揃ったことだし、そろそろ決着つけようぜ」




決着……?




「次の大会で俺に負けたら、もう陸上をやめろ」



……え?



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