遠距離の彼 と 近距離の同期
「誰も行きたがらないだろ、そんなとこ。
栄転とか、昇給とか、エサをぶら下げて、
全国から現場にも入れるSE何人かを管理職に
据えたんだ。
じゃなきゃ、係長をすっ飛ばして課長に昇格
なんて人事、ありえないだろ?」

「じゃあ、もしかして、私が異動の希望
出したら、すぐに通る?」

「ああ。だから、あえて連れていかなかった
んだ。
そんな地獄に結を巻き込みたくなかったから。
だけど、結がいない毎日がこんなに辛いとは
思わなかった。」

「海翔?」

「毎日、毎日、結に会いたくて、結の声が
聞きたくて、結を抱きしめたくて、気が
狂うかと思った。」

「海翔…」

「今、中途採用のSEを募集してる。
下請けとか関連会社からの出向でもSEを
出してもらってるから、多分、夏には
落ち着くと思う。
そしたら……… 結、結婚しないか?」

「え?」

「俺には結しかいない。
もう結と離れたくない。
だから、一生、俺について来てくれないか?」
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