遠距離の彼 と 近距離の同期
20時半。

まもなくお開きという頃、海翔が現れた。

「結、お疲れ様。」

そう言って、海翔が差し出したのは、花束ではなく、蓋を開けられた小さな箱。

真ん中にキラキラ輝くリングがちょこんと座っていた。

「結、俺と結婚してください。」

3ヶ月前なら、嬉しかったのに…
3ヶ月前なら、心から喜んだのに…

私は、3ヶ月前に欲しくて仕方なかったそれが、
今は重くて、辛い物に変わってしまった事が悲しくて、涙が零れた。

泣きながら、
「はい。」
と受け取る私の姿は、天にはどう映っただろう?


「ひゅー!!
やるぅ〜!!」

「おめでとう!!」

口々に冷やかしとお祝いの言葉が飛ぶ。


海翔が、
「ありがとう!」
と微笑んで、手を挙げる。
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