遠距離の彼 と 近距離の同期
会計を待つため、ロビーに戻ると、海翔が言った。

「ここに俺の子がいるんだな。」

海翔は私のお腹をそっと触る。

「絶対に幸せにするから。結も、この子も。」

海翔が私の肩を抱き寄せた。

優しいぬくもり。


だけど、違うと思ってしまう私がいる。

私が欲しいのは、もっと俺様で、私をいつも振り回して、だけど、時々とてもかわいくて、私をキュンとさせてくれる、そんなぬくもり。


パンダが好きで、コアラが好きで、本気でにテニスをしてくれて、負けると思い切り悔しがって、バスケをする姿がとても綺麗で目を離せなくなる、私が欲しいのは、そんな人。


海翔、ごめん。

海翔の腕の中で、私、違う人の事、考えてる。


海翔、もう少し待って。

いつか、ちゃんと海翔を思うから。

もう少しだけ、もう少しだけ、思い出に浸らせて。


天………
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