神様には成れない。


まさか、人として好きだと言われてるとは言えもしない。言った所でまた疑問を生まれさせてしまうだけだろう。

だが、逆にそれを知らない彼女は違った観点を持つ。


「あ、じゃあ、男紹介してくれるって話してみたら?」


そう言う話でもない気はするのだが、彼に告げてみる事を想像して思わず苦笑いをしてしまう。


「私、そんな駆け引きするようなタイプじゃないし」

「確かに。瀬戸ちゃんはそんなタイプじゃないわ。でも、鈍感だったらこれも意味のない話だけど、好きならある程度は好意くらい示しとかないと誰かに取られちゃうよ?」

「あー……そうだね」


曖昧な返答をしながら、その話ももっともだと改めて思う。

だって彼に言い寄る女の子なんてきっと沢山いる。

バイトの最中でさえ、声を掛けられたりしているのだ。同じ大学の子にだって今この瞬間にも声を掛けられたりしているかもしれない。

大学が違う私はそれすらもできない。

けれど、結局の所、私は口に出せないのだ。出せば彼はきっと困る。


「例えばさ、いつもと違う格好をしてみるとか。それだけでもいいんじゃない?あと、可愛い格好すればそれだけで自分のテンションも上がる!」

「ふふ、何それ」


得意げに言うので助言をしてくれているにも関わらず、付け足すように言った言葉に少し笑ってしまう。


「え~~、私真面目に言ってるんだけど」

「ごめんごめん」

「まあ、いいけど。あ、そう言えば私お昼まだなんだけど瀬戸ちゃんもまだだったら一緒にどう?」

「うん、私もまだ食べてないから一緒させてもらうね」


話が一区切りしたことにほっとしながらも、私は莉子ちゃんの言葉が引っかかって仕方なかった。


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