Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 公休日の今日、本来ならば新しい住居に足りない生活用品を買い足したり、空っぽの冷蔵庫に食材を補充したりすり用事をこなして過ごす予定だった。
 けれど、外に出てうっかり雨宮と出会ってしまうことが怖くて、千紗子はほとんど部屋に籠って過ごした。

 千紗子がやったことと言えば、シャワーを浴びて部屋の空気を入れ替え、すぐ側のコンビニで買えるものだけで、掃除用品を買って簡単な掃除をしたくらいだ。
 
 何もしないでいると、千紗子の頭の中は雨宮との行為のことを思い出してしまって、その度に羞恥で熱くなったり、自分が情けなくて涙があふれたり、翌日からのことを考えて憂鬱になったり、とにかく自分の感情に振り回されて、どっと疲れてしまうのだ。

 何も考えないために、せっせと掃除に励んだ千紗子は、昼過ぎから眠ってしまっていたようで、気付くと部屋には夕陽が差し込んでいたのだった。
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