命の記憶
 真横を過ぎていくサラリーマンがハンカチで汗をぬぐっている。


 だが私にはそんな暑さなんて感じられなかった。


 それほどまでに彼と会える喜びが私の胸を熱くさせる。


 胸の熱さは家に帰るまで続いた。


 家に入ると、クーラーの涼しい風によってそれが少し冷まされた気になった。


 久しぶりに会ったら何を話そう。


 3年半も経っていたら雰囲気も全然違っていたりするのかな。


 私の知っている彼じゃなくなっていたらどうしよう。


 それとも全く変わっていなかったりするのかな。


 そもそも私のことを覚えているのかな。


 彼に会えた時のことを色々と考えながら、長い1週間を過ごした。
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