命の記憶
 不安が込み上げてきた。


 もしかしたら彼だって私たちのように友達と他の場所に遊びに行っているかもしれないのに。


「もー、琴音! 彼を見つけたらちゃんと言うから今は気にせず楽しも!」


 なんてことだ。


 私はそんなに態度に出てしまっていたのか。


 とても申し訳なくなる。


 桃子の言葉を信じ、今は楽しむことに決めた。


 2人で3階へと続く階段を上る。


 今さっき気にするなと言われたばかりだが、それでも2階を通り過ぎる瞬間は彼がいないか少しだけ気になってしまった。


 しかし桃子の言葉を信じると決めたおかげで少し前のような不安感はない。


 それに、なんとなく彼に会えるんじゃないかという気すらしてきた。
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