俺たちは夜に舞う蝶らしい




俺のげんなりした声にクスクスと笑って、はい。とひとつ返事をした蘭音。




「さて。
そろそろ行きます。

BARを開ける前に適度に終わらせたいので。」


『悪いな。』


「いえいえ。」




ぽんっと優しく澪を撫でて玄関へと歩いていく蘭音。

俺も蘭音の見送りのためにその後をついていく。
玄関で靴を履いた蘭音は思い出したように、俺に背を向けたまま語り出す。




「そうそう。
昨日凜音には言ったんですけど‥‥」



蘭音の言葉に首を傾げる。
つか、このタイミングでの話は間違いなく裏の話。

それを凜音に話したってことは、自分が情報屋をしていることをバラしたのか。

それとも、始末屋の方をバラしたのか。

まあ。
そんなことはどうでもいい。
それは、凜音と蘭音の問題だ。




「昭美さん。
気をつけておいた方がいいですよ。」


『昭美?
何かに巻き込まれるとでも言うのか?』


「凜音みたいに勘違いしないんですねー。」




蘭音の言い方は昭美がなにか企んでるから気をつけろって事だ。

その企みが裏切りだとしたら、蘭音はハッキリいうだろう。

凜音はその蘭音を知らないから勘違いしたんだろうな。



< 29 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop