俺たちは夜に舞う蝶らしい



「[蘭ちゃん、指示だして。]」


『…………計画を変更する。
澪と翼はそこを片付け、撤退。
その後の行動は澪に一任する。

俺と凛音は…………』





次の行動への指示が言えない。

これを言えば、すべてが終わる。
信じていたものも、思いも何もかも。





「[蘭ちゃん……]」





澪の心配そうな声が聞こえる。

今、一番危険な場所にいる自分より年下に心配されるなんてな。

それでも、言いたくないんだ。

俺たちの中に裏切り者がいたなんて。





『……………………っ。』


「蘭音?」
「[蘭音さん?]」




不思議そうな凛音と翼の声。
それと同時に向こう側から聞こえてた金属音が止む。

そんな長い間、俺は考えてたのか。




「[敵、殲滅完了。
これよりこの場を撤退し………………






KINGのトップ兼創設者……
そして、裏切り者





萩原 秋雨を討ちに行きます。]」





澪は何の躊躇いもなく宣言する。

澪の言葉に時間が止まったような感覚に陥る。
凛音も翼も何も発しない。

発せない。

そして、澪は静かにいう。




「[お2人も、補助お願いします。]」




悲しく苦しい幕開けであり、全ての幕引きを宣言する言葉を。


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