届け、響け、繋がれ
「あ!暇だよね?」


「決めつけないでください!勉強中です。」



「ネコ描いてんのに?」



「これ、アライグマですからっ」



盛大に吹き出す先輩を無視してシャーペンを片付ける。ハァハァと荒い息をして再度吹き出す先輩を小突く。


「ハァ…これ…あ、あらい…アハハっ」



「もういいです!暇ですから行きますよ」



「ごめんごめん、…プッハハッ」



これ以上、図書室でこの人を暴れさせてはいけないとどうにか連れ出した。

図書室から出て、何かするんですか?と声をかける。


「話したい事あったから」


やけに真剣な口調になって、さっきまで泣きながら爆笑していた人じゃないみたいだ。

外はもう夏が終わるというのにジトジトと蒸し暑い。
それなのにこの先輩は爽やか笑顔で立ってるんだから尊敬する。


「何ですか?」



「俺がこの学校来たのは外国語に強くなるためだって前に言ったよな?」



「ええ、それで映画についてアメリカで…。ってまさか!」
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