王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 だけど事情を知れば、事はそう簡単じゃなかった。

「……ミハル、支払いを待つ事は一向に構わないよ。ただ、薬の代金に関しては一旦保留にさせて」
「? あ、あぁ」
「それからミハル、朝食を食べたら私、少し出掛けてくるね」

 今はミハルに対して、これ以上言い様がなかった。

「出掛けるって、案内なしで大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。王都は何度か来てるから、だいたい分かってる。そうそう、妹さんの薬屋さんって王都の東大通りに出店してるんだっけ?」

「あぁ、フレミー薬店は東大通りに派手な店出してるよ」
「ふーん、そう」

 私は敢えてさり気なさを装って、軽く返した。

「エミリー、俺はこの後出勤しちまうけど、もし何かあったら第三師団を訪ねてくれ。一応、すぐ俺に取り次いでもらえるように、守衛係に一声掛けとくから」



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