王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


「それにこればっかりは、考えたところで不毛なだけだもんね」

 おもむろに、空を仰ぐ。

 空には、もくもくとした雲が多く浮かんでいた。

 
 フレデリック様は、あの雲よりもっと高いところに暮らす雲上人。これから先の私の日常で、笑みはおろか、米粒大のうしろ姿だって、目にする日は訪れないだろう。

 そう、今回はたまたま雲上人が、雲の隙間から落ちてきたというだけの話だ。

 なにより私自身、面倒事を望まない。
 色恋なんて、面倒なだけ。雲上人への惚れた腫れたなど、論外だ。

「……そう。恋なんて面倒なものは、いーの、いーの。ゆったりのんびり、ほどほどに暮らせれば、いーの、いーの。さ、ひと雨来る前に、菜っ葉を収穫しーちゃおっと」



< 34 / 284 >

この作品をシェア

pagetop