ハナミズキ~あの日の君に恋をする~

嘘と恋



「何ボーッとしてんの」


「え、いや。だってさ」


「あーそんな眉間にしわ寄せたら美人が台無し~」


「なっ∥∥じょ、冗談やめてってば!」


「だから、冗談じゃないってば」


ドクドクドクッと高鳴る胸を必死におさえながら、


瑞樹くんの隣を歩く。


友達になって何週間か経っているはずなのに


私の心臓は慣れを知らないらしい。


瑞樹くんの側にいるだけで、笑顔になれる。


声が側で聞こえるだけでドキドキしてくる。


ちょっと優しくされる度、


勘違いしてしまいそうになる。


"好き"の気持ちは加速していく一方だ。


最初よりずっと好き。


好きで好きで堪らないよ…。



「あ、ヤバイ!このままじゃ遅刻するぞ!ほら早く!」


「うわっ!ちょっと!」


家の方角が一緒で割りと近いことを知った私達は


毎日一緒に登校することになった。


毎日遅刻ギリギリな瑞樹くんを


起こしに行くのが今では


もう日課になってしまっている。



腕を引っ張られながら


彼の走る速度に合わせるので必死な毎日。


この時間が、ずっと続けばいいのに…。



この時の私は、そう信じてた。

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