10年後にまた返事を聞きに来て。
「急にこんなこと言われてびっくりしたよね……ごめん」

「はい……かなり。また告ら――」

「ん?」

「いえ、なんでもないです……。あの~申し訳ないですが、連絡先交換しても、この先、お付き合いすることはないと思いますよ?」

キッパリと言っておくほうがいいよね。先輩のためにも。
だって、そのつもりないし。

「でも、連絡先交換は拒否しないんだ?」

「なっ……」

「この先のことなんて、まだ誰にも分かんないじゃん?」

あたかも、それが正論かのように話す先輩。
確かに、正論だけども!

「じゃあ、交換はOKってことでいいのかな? 香帆ちゃん」

「だから、それは――」

どう返事すればいいのか迷っていると、先輩は有無を言わさず、

「はい、これが俺のチャットのIDね。検索してみて!」

まだ聞いてもないIDを教えてきた。

「……っ」

ヤバイ……押し切られてる!?
まぁ、チャットくらいならいっか。

「はい、検索しました。スタンプ送っておきますね」

交換しちゃったよ……。

「サンキュ! ……あ、来た来た! じゃあ、またチャット送るね~」

自分だけ言いたいこと言って、教室を出ていった。

「……行っちゃった」

とりあえず、私も帰ろう……。
こんなとこにいても仕方ないし。
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