新選組と封印された天狗少女
「ありがとう」

すると、沖田くんは近藤のところへ行った。

「近藤さん、ちょいと紹介したい人がいるんで集めて貰えませんか?」

「いいぞ。みんな!集まれ!」

その一言でみんなが整列した。やっぱり、あいつはすごいのか?

「今日から、道場に住むことになった、千夜ちゃんだ。千夜ちゃん、自己紹介して」

肩を叩かれたので、私は1歩出た。

「私は、千夜。天狗だ!」

そう言うと、場が笑い出す。冗談にもほどがある、面白くない冗談だ、とみんなが口々に言う。

「お前、本当に天狗なら能力みせてみろよ」

ひとり整列しないで壁に寄りかかっている男がそう言い出した。

「いいよ」

私は団扇をだしてそれを振り上げた。

「あ、あれ?」

なぜ強風が出ない?なぜ、能力が使えない?なぜ、なぜだ……?

「嘘だな」

「土方さん、嘘に決まってるじゃないですか」

沖田くんがそれに被さるように話しかけた。
信じてくれないのか、みんな。

「嘘なんかじゃない!私は……我は天狗じゃ!正真正銘……山の神じゃ!」

あれ、なんでだ……?記憶がごちゃまぜに。

「自惚れてるな、この女……」

土方とやらが、そう言った。

「自惚れてなどいない!我は山の神だぞ!口のきき方を考えろ!」

「殺すぞ自惚れ女…」

「その辺にしてください。千夜ちゃん、散歩に行こ!」

沖田くんがそういうので、私は頷いた。
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