恋人未満のこじらせ愛
毛塚先輩と交際して一年ほどが経った頃だろうか。
大学四年生のほとんどが就活でひと段落した頃。季節が晩秋に差し掛かって来た時だ。

当時の私は、どうやって彼氏とクリスマスを過ごそうかと胸を踊らせていた。
付き合って二回目のクリスマス。
去年と同様に、スーパーでチキンを買って二人でケーキを買って…なんて他愛もないことを考えていた。
ようやく内定が出て、二人でゆっくりと過ごす時間が増えたことが何よりも嬉しくて、私は張り切っていた。


彼も私と一緒に過ごすために「お金を貯める」と言って、バイトの日数を増やしていた。


それは何より、喜ばしいことであった。
私の為に頑張ってくれている。そのことが何よりも嬉しかった。


毎日バイトが終わると電話をくれて、寝るまでのつかの間の会話を楽しむ。
それは毎日の習慣で、付き合ったころからの何となく続いていることだった。


ただある日から、徐々に回数が減っているのに気付く。

『ごめん、先輩と一緒に帰っていて』

『疲れてすぐ寝てしまって』

いつもありきたりで、納得のする内容ではあった。


だけどただ何となく、私は違和感を感じるようになっていた。

本当に何となくだけど、態度が数センチずれたような…本当に些細な変化だけど、妙な違和感があったのだ。
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