三途の川のお茶屋さん
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幸子は三十歳という年齢よりも落ち着いた、しっかりとした女だった。
けれど内面の落ち着きとは裏腹に、時折見せる笑みは屈託なく、くっきりと浮かぶえくぼは実年齢よりも余程、幸子を幼く見せた。
「居候、させてもらってるんですから家事くらいはさせて下さい」
初日の幸子の宣言通り、幸子は屋敷の家事仕事の一切合切を担った。幸子を迎え、屋敷はまるでこれまでとは別物のように明るく、居心地よく変わった。
「十夜、今日はシーツを洗いますから部屋に入りますよ。見られてマズい物があったらあらかじめ隠しておいて下さいね?」
「……そんな物はない。勝手に入れ」
「ふふふっ。はい」
幸子が住みやすく屋敷を整え、俺の食事にあれやこれやと世話を焼く。それはなんと、快適で心地よいのだろう。
幸子が微笑みながら、カーテンを端から外してゆく。
「カーテンも洗うのか?」