三途の川のお茶屋さん
「懸人、……可愛い」
起こさぬよう、あたしは懸人を覗き込む。可愛らしい懸人の寝顔に、自然と頬が緩んだ。
「ねぇおばちゃん、おばちゃんはあたしが懸人の許嫁で良かった? 母とおばちゃんが仲いいのは知ってるけど、うちは家格としては下位だから……。それにあたし、懸人よりも年上だよ?」
あたしの母とおばちゃんは、姉妹みたいに仲が良かった。あたしの母の方がずっと年長で、おばちゃんの事をとても可愛がっていた。おばちゃんも、あたしの母を慕っていた。
その縁と諸々の事情によって、あたしが正式に懸人の許嫁に定められた。けれどこの時、あたしはもう十四歳になっていた。
「タツ江ちゃんが懸人のお嫁さんになってくれるなんて、こんなに嬉しい事はないわ。それから家格は問題じゃないわ、タツ江ちゃん自身が優秀なのは天界中が知っている。それに姉さん女房って、私はとっても素敵だと思うわよ? まぁもっとも、私達は長生きだから、その内年齢差なんて気にならなくなってしまうけれどね」