Love season

「自殺?」

「うん......」

そう言って女の先輩は悲しそうな顔をした。

男の先輩もうつむいている。

「その子とは私たちも仲が良かったの。でも......」

真先輩とこの人たちは小学校の頃から同じだった。

真先輩の彼女もその1人だった。

けれど真先輩の彼女はいつしか、いじめられるようになっていった。

そんな彼女を2人は助けることができず、目をそらしてしまっていた。

真先輩だけが彼女のことを守ろうとしたらしい。

けれど真先輩の彼女は自殺をしてしまった。

だから残された3人はその事をずっと後悔している。

自分たちのせいで、と。

真先輩は彼女が自殺してから人が変わってしまったという。

明るくていつも笑っていた彼が、笑わなくなった。

授業にもまともに出なくなっていった。

「きっとあいつは私たちのこと恨んでるのよ。あの子のこと見捨てたって」

「そんな......」

そんな悲しいことがあったなんて。

「でもなんであの人は毎日のようにここに?


「真の彼女はこの桜が好きだった。あの2人はここで付き合うことになった。しかも真が告白して」

あの真先輩が?

「それで、なんで私があの人のことを助けるって.......」

私には関係のないことじゃない。

「あなた、あの子に似てるのよ」

「あの子?」

「真の彼女」

「え?」

「それに、真があんなに楽しそうに人と話してるの久しぶりに見たの」

楽しそうにって、あの人全然笑ってなかったけど......

「笑っていなくても、楽しそうなのはわかるの」

「そうなんですか......」

「あなたが彼女に似てるから、きっと真も心を開いたのよ。だから......」

「あいつを助けてくれ」

と泣きそうになっている女の先輩の代わりに男の先輩がそう言った。

私だって好きな人のためにできることはやりたい。

でも......

「どうやって?」

「あいつはあなたに彼女の面影を重ねている。そしてあなたを見るたびに思い出すの」

だとしたら、それは、悲しい事なんじゃ.....

「だからあいつは来なくなったの。だけどあなたは彼女じゃない。山本春香ちゃんなの」

「そ、それはどう言う......」

「あいつが好きなのは彼女じゃない。春香ちゃん、あなたなの」

「そんな......」

私のことが好き?

嬉しいような、悲しいような複雑な気持ち。
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