御曹司は恋の音色にとらわれる
店の外に出て、

「あの、ありがとうございます、ごちそうさまでした」

そう言うと、彼が真剣な表情で私を見てる。

「今日一緒にいて、すごく楽しかった、
 理由があって今すぐは駄目だが、
 3か月いや2か月したらまた会って欲しい、その時、
 俺が君の心の片隅にでもいれば、付き合って欲しい」

真剣な告白のはずだが、私の頭の中では、
中條さんとマスターの、

「恋?」「やっぱりね」
「ロマン」「運命の出会い」

と言うやり取りが、頭の中をかけ巡っていた。

心の中で2人を横に追いやり。

「では、2か月後」

笑顔で言うと、「よっし、やった」と五十嵐さんが、
小さくガッツポーズをしていた。

「本当は連絡先とか、交換したいんだけど、
 それも2か月後で、いいかな?」

「はい」

「待ってて、絶対君を迎えにいくから」

裏表のない笑顔に、惹かれている自分を自覚していた。
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