御曹司は恋の音色にとらわれる
「君の演奏が特別なんだよ、
 今となっては、君を特別に思っているから、
 君の演奏も特別に聞こえるのかもしれない」

「それでもいいの、クラシックに触れるきっかけに
 なってくれたのなら演奏者として最高だわ」

「本当に特別なんだよ」

「ありがとう・・・でいいのかしら?」

「多分、間違いじゃない」

顔がどんどん赤くなっていくのは、
お酒のせいだけではないような気がする。

独創的な料理を前に、誤魔化すように話しを続ける。

「帆立貝のソテーとアスパラガスも美味しかったけど、
 鴨胸肉のローストも最高」

鴨胸肉のローストには、黒トリュフソース、
ビーツと木苺のピュレが添えられており、
味に更に深みを出していた。

「君が幸せならいいんだ、本当に」
< 37 / 102 >

この作品をシェア

pagetop