想い花をキミに

love stage14. 救世主の正体

今までずっと気になっていたけど聞けずにいたこと。

それは隼太の両親の事。
離婚したのは知っていたけど、今どこで何をしているのかまでは分からなかったから。
だけどこれではっきりした。
隼太が今あんなに良いアパートで何不自由なく暮らせている理由が──。

「俺の父親は県内でも有名な病院の院長なんだ。」

ソファに腰かけ、前のめりになって話す彼の顔に表情はなかった。
そんな彼を黙って見つめる私も真顔、いや、戸惑いに溢れた表情をしていたかもしれない。

私とは住む世界が違う人、そう思った。
それから、

「病院の経営のために、付き合いのある会社の社長との縁談を持ちかけられてるんだ。」

隼太が私ではない別の女性と結婚しなければいけないという事実があることも知らされた。
目の前が真っ暗になったような気分で、それ以降の隼太の声は私の耳には届いていない様な気がした。

隼太が何かを言っているけど、何も聞こえない。

そんな感覚だけど、彼の頭の中では縁談という言葉がずっと反響している。
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